2水準の要因を含む決定的スクリーニング計画(DSD)の作成
はじめ、決定的スクリーニング計画(DSD)は3水準実験として考案されましたが、2水準(-1および1)要因も扱うことが出来ます。
作成はいつも通り、Rで行っていきます。
#計画の作成 library(daewr)#DSDのためのパッケージ X0 <- DefScreen(m=4, c=1)
daewrパッケージのDefScreen関数の"c"を指定することで、2水準要因の数を指定できます。上で作成された計画X0は表1のようになります。
2水準の要因を含むDSDの特徴
2水準要因を含むDSDには以下の注意点があります。
- 2水準要因と3水準要因は完全に独立ではない
- 2乗効果の推定が不確実になる
まず、特徴1についてですが、表1に示した計画X0の主効果同士の相関係数を図1に表します。確かに、2水準要因である要因Eはその他の3水準要因と若干の相関があることが分かります。ただ、相関係数は0.17なので、ほとんど独立と言って問題はないと思います。
次に、特徴2「2乗効果の推定が不確実になる」についてですが、これも相関係数をチェックすると納得できます。計画X0の2次効果の相関係数を図2に、要因Eが3水準だった場合の相関係数を図3に示しました。
水準要因がある場合2乗効果の相関は0.3であり、2水準要因がない場合(0.08)と比較して、やや高くなっていますね。
2水準の要因を含むDSDの解析
解析方法についてはこちらの記事と同様にできます。例えば、AICcによるモデル選択については、2水準要因の有無にかかわらず適用できます。
一方、上の記事で説明した、効果的モデル選択におけるStep1「有効な主効果の選別」では、はじめにfake factorによる誤差の推定を行う必要がありました。2水準要因を含むDSDでは同じことができないので、以下の方法で誤差を推定します。
やっていることは単純で、DSDのセンターランに相当する最後の2行を反復することです(run13の反復をrun131, run14の反復をrun141で表しています)。
こうして、実験結果Yi (iはrun番号)が得られた後、Y13, Y14, Y131, Y141を用いて、
により、誤差σを計算することが出来ます。ここではY13, Y14, Y131, Y141であり、例えばは2水準要因であるEの効果を差し引いた実験結果となります。V(x1, x2)はx1とx2の分散を計算するという意味です。
σを求めた後は、先の記事を参考にしていただいて、有効な主効果を選別し、Step2で2次効果を追加することで、モデル作成ができます。
参考文献
Definitive Screening Designs with Added Two-Level Categorical Factors, Jones & Nachtsheim, 2017.