はじめよう実験計画

実験を早く終わらせるための技術

【実践問題2】分割法の練習

問題

要因はMethod(1,2,3)とTemp.(200, 225, 250, 275)。Rep.は反復。Yが実験データ。

1つのMethodあたり、すべてのTemp.の実験をまとめて行うので、MethodがWhole-Plotになります。

表1 実験データ

上の表はこちらからダウンロードできます。以下、Rによる分析です。

R code
d<- read.csv("T14.16.csv")#データファイルの読み込み
d$Method <- as.factor(d$Method)#factor型に変換
d$Temp. <- as.factor(d$Temp.)#factor型に変換
d$Rep. <- as.factor(d$Rep.)#factor型に変換
summary(aov(Y~Method*Temp.*Rep., d))#分散分析

##実行結果
                  Df Sum Sq Mean Sq
Method             2  128.4   64.19
Temp.              3  434.1  144.69
Rep.               2   77.6   38.78
Method:Temp.       6   75.2   12.53
Method:Rep.        4   36.3    9.07
Temp.:Rep.         6   20.7    3.44
Method:Temp.:Rep. 12   50.8    4.24

分割法の分散分析は、Rの実行結果を一度エクセルに張り付けて、わかりやすいように並べ替えます(表2)。

表2 R codeの実行結果を並べ替えて、エクセルに張り付ける。

次にF値を計算します。F値を計算する際、それぞれの項に由来する平均平方MSの期待値がどのようになるのか知っておくと、F値の計算で迷わなくなります。*1

例えば、表3のように、Whole-PlotのMSBの期待値は、Whole-Plot誤差のMSABにMethodの効果βjに影響する項が加えられています。よってβ=0のF検定はMSB/MSABで行えばよいとわかります。

このように、平均平方の期待値の理論式の表を、参照できる状態にしておいて、表3のF値の部分だけ、エクセルで計算すればよいです。

表3 分割法の平均平方の期待値の理論式

表3を参照して、先ほどのデータ(表2)から、F値とP値を計算したのが表4です。Method, Rep., Temp., Method*Temp.の効果があることがわかります。

ここで、P値はエクセルではF.DIST.RT(F値, 分子の自由度, 分母の自由度)で計算できます。

表4 分割法の分散分析

ちなみに、この問題を完全な要因配置計画として分析する場合、反復も含めて、全ての実験をランダムな順番で実行するため、Repは評価できる要因ではなくなります。

分散分析の結果は以下の通りです。Method*Temp.の交互作用は優位ではなくなってしまいました。

> summary(aov(Y~Method*Temp., d))#要因配置計画の分散分析
             Df Sum Sq Mean Sq F value   Pr(>F)    
Method        2  128.4   64.19   8.313  0.00181 ** 
Temp.         3  434.1  144.69  18.737 1.76e-06 ***
Method:Temp.  6   75.2   12.53   1.622  0.18426    
Residuals    24  185.3    7.72                     
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Signif. codes:  0 ‘***’ 0.001 ‘**’ 0.01 ‘*’ 0.05 ‘.’ 0.1 ‘ ’ 1

以上まとめると

■今回の流れ■
1. Rで平均平方を計算する。
2. Rの実行結果をエクセルに張り付ける。
3. 平均平方の期待値の理論式を参照しながら、エクセルでF値とP値を計算する。
以上です。

 

 

 
 

 

*1:分散分析で押さえておくべきは平均平方の期待値がどうなるか?(表3のE[平均平方])だと考えてます。導出はどこかで紹介しますが、E[平均平方]の形に基づいてF値を計算するからです。