ゼロから実験計画法をはじめる人には、私はR言語をおすすめします。本記事ではRで実験計画法をはじめるために必要なことをまとめてみました。
R言語で実験計画法をはじめる
実験計画法を学び始めると、Excelを使用した要因配置計画や、商用ソフトを使った計画作成・解析のやり方を目にすると思います。
しかし、複雑な計画や統計の処理のためには、Excellでは役不足ですし、かといって商用ソフトは買うと高いし、完全にブラックボックスになってしまって、中でどんな計算をしているか理解できない、といったデメリットがあると思います。
そこで、私がおすすめしたいのが、R言語です。
言語、と聞くと難しいイメージがあるかもしれませんが、Excelよりはるかに高度な処理が出来ますし、自分である程度プログラムを書くので、何をやっているか理解しやすいというメリットがあります。
以下でRのインストールから具体的な解析方法まで、説明していきますので、プログラミングになれていない方でも十分使えるようになりますよ!
RとRstudioのインストール
Rとは統計処理などによく使われる言語で、RstuidoはR言語用の統合開発環境(エディタ・実行画面などが一体になったもの)です。
RとRstudioのインストールに関しては、わかりやすいサイトがありましたので、こちらの記事を参考にしてインストールしてみましょう。
実験計画法のためのRパッケージ
Rには「パッケージ」という概念があります。パッケージとは、Rのいろいろなプログラムをまとめたものです。
パッケージをインストールすると、そのパッケージに入っている多くの関数を使用することができるので、統計処理などを自分でプログラムする手間を省くことができます。
そして、Rには実験計画法向けのパッケージが多く存在します。
実験計画法向けのRパッケージの説明が、以下のサイトに載っていますので、英語が苦にならない方は眺めてみてくださいね。
パッケージのインストールと具体的な計画の作成方法
さて、先ほどのCRANのサイトからパッケージをインストールして、具体的にどのように実験計画法を行うのか、説明します。
ここでは、要因配置計画・一部実施要因配置計画・Plakett-Burmann計画の作成を行ってみましょう。
使用するのは"FrF2"というパッケージです。
Rstudioでパッケージをインストールする画面を以下に示しました。
まず、右下のPackagesタブのInstallをクリックすると、画面中央にダイアログが出てくるので、インストールしたいPackegeの名前(ここではFrF2)を入力して、インストールします。
Rstudioは左上の画面にプログラムを書いて、左下の画面に実行結果がでてきます。
インストールしたパッケージを使用するときは、はじめに
library(パッケージ名)
と書いて実行する必要があります(実行はCtrl+Enter)。
パッケージがインストールできたら、いよいよ要因配置計画・一部実施要因配置計画・Placket-Burmann計画を作成してみます。実行結果を以下に示しました。ここで、A, B, C,...は要因を、-1,1が水準を表しています。
> #3要因の要因配置計画 > FrF2(nruns=8, nfactors=3) creating full factorial with 8 runs ... A B C 1 -1 -1 1 2 1 -1 -1 3 -1 -1 -1 4 1 1 1 5 -1 1 -1 6 -1 1 1 7 1 1 -1 8 1 -1 1 class=design, type= full factorial > #3要因の一部実施要因配置計画 > FrF2(nruns=4, nfactors=3) A B C 1 1 -1 -1 2 -1 -1 1 3 1 1 1 4 -1 1 -1 class=design, type= FrF2 > #12試行11要因のPlackett-Burmann計画 > pb(nruns = 12) A B C D E F G H J K L 1 -1 1 -1 1 1 -1 1 1 1 -1 -1 2 -1 1 1 -1 1 1 1 -1 -1 -1 1 3 -1 1 1 1 -1 -1 -1 1 -1 1 1 4 -1 -1 -1 -1 -1 -1 -1 -1 -1 -1 -1 5 1 -1 1 1 1 -1 -1 -1 1 -1 1 6 -1 -1 1 -1 1 1 -1 1 1 1 -1 7 1 1 -1 -1 -1 1 -1 1 1 -1 1 8 1 1 1 -1 -1 -1 1 -1 1 1 -1 9 1 -1 -1 -1 1 -1 1 1 -1 1 1 10 1 -1 1 1 -1 1 1 1 -1 -1 -1 11 1 1 -1 1 1 1 -1 -1 -1 1 -1 12 -1 -1 -1 1 -1 1 1 -1 1 1 1 class=design, type= pb >
上記の実行結果では、パッケージFrF2の中の2つの関数FrF2とpbを用いて、要因配置計画・一部実施要因配置計画・Placket-Burmann計画を作成しました。
関数の使い方に迷ったら、実行画面で"help(FrF2)"を実行してみましょう。Rstudioの右側の"Help"タブのところに、関数の使用方法がバーッと出てきますので、それをよく読めば色々な設定が出来ます。ただ、すべての設定を覚える必要はありませんので、よく使う設定だけ、今後ブログに更新していこうと思います!
まとめ
Rstuidoをインストールして、実験計画法の計画を作成する具体的な手順を説明しました。この後の流れとしては、出力結果にでてきたA, B, Cに実際の要因を割り当てて実験を行い、結果を解析するだけです。解析もRを使って行うことが出来ます。さまざまな解析方法については、こちらにまとめていきたいと思っておりますので、ぜひご覧ください!!
参考書籍
Rの実験計画法の書籍をやる前に、私が皆さんにおすすめしたいのは、実は、「Excelで計算を一つずつ実際にやってみる」ということです。私は、実験計画法を始めたときはまず、Excelでやってみました。一つ一つの計算が分かった後で、プログラミングで楽をした方が、つまずかないで済むので早く習得できるのと思います。急がば回れです。